もし余命半年と宣告されたとしたら

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 先日、エアーフランスの機内で映画『THE BUCKET LIST(邦題:最高の人生の見つけ方』を観ました。

 モーガン・フリーマンとジャック・ニコルソンの競演となれば、駄作のはずはないのですが、内容は私の期待を大幅に上回る出来でした。

 もしも、機内の照明が落とされていなかったら、あふれる涙を気にしてきっと集中して観ることができなかった思います。

 映画の題名「THE BUCKET LIST」(棺おけリストの意)とは、モーガン・フリーマン演じる自動車修理工のカーター・チェンバースが学生の頃に教わった、死ぬ前にやりたいこと、見たいこと、体験したいことのリストのことです。

 カーターは個人的にかなえてみたい夢を思い浮かべる一方で、現実という壁の前にそれらを諦めざるを得ませんでした。

 45年間続けている自動車修理工の仕事、結婚や子供の養育などの責任…それらを逃れて夢を追い続けることが、できていなかったのです。

 一方、ジャック・ニコルソン演じる大金持ちの実業家エドワード・コールは、財産を増やし、会社を大きくすることに忙しすぎて、より深く自分が求めていることを考える余裕すらありませんでした。

 その2人がたまたま同じ病室になり、それぞれ余命6ヶ月と宣言され、自分たちに残された時間内で、今までやりたくてもできなかったことを、思い残すことなく実行するという映画です。

 ストーリーのよさや映画としての面白さもさることながら、私はむしろ作品が扱っているテーマの重さについて深く考えさせられました。

 きっと、作者は「人生の濃度」とでもいうべきものを表現したかったのだと思います。

 この映画を観た人は、おそらく誰もが自分のこれからの人生について、思わず立ち止まって考えてしまうことになるでしょう。私自身ずっと手元に持っていて、何度も繰り返し観てみたい作品の一つになりました。

 さて『THE BUCKET LIST』の邦題は、『最高の人生の見つけ方』というものでした。

 あなたは「最高の人生」と言われたら、どんな人生を思い描くでしょうか?

 大邸宅に高級車、クルーザーや別荘といったものを連想する人もいれば、家族の幸せと社会貢献をイメージする人、さまざまな資格を取って生涯勉強し続ける自分の姿を思い浮かべる人もいるでしょう。ミュージシャンとしてデビューしたり、はたまた何もせずにボーッとしていられることこそ最高の人生という人もいるかもしれません。(笑)。

 こう考えると、「最高の人生」は、人の数だけあるのかもしれないと思います。

 そう、おそらく、夢の種類は人の数だけあるのでしょう。しかし、「夢」というものをどうとらえているか?となると話は別です。実は人は、たった二つの見方でしか「夢」をとらえていないのです。それは、

1. 夢はかなうものである
2. 夢はかなわないから夢なのだ

 この二つです。あなたは「夢」を、このどちらに定義づけていますか?

 人は心の中にある、物の見方の基準(あなたがもっている価値観)で、どちらから物事を見るかを、無意識のうちに決めてしまいます。たとえば、あなたが今新宿にいて、通りすがりの人から

 「すみません、10分で横浜まで行きたいのですが」

 と聞かれたら

 「えっ?10分ではとてもムリですよ。だって湘南新宿ラインに乗っても……。渋谷回りだと……」と答えるでしょう。しかし、ぐったりとして息も絶え絶えに見える幼い子供を抱えた母親に

 「この子の命が危ないんです!10分で横浜に着く方法を教えてください!」と言われたら?ヘリコプターを連想するに違いありません。この違いは何でしょうか。

 前者では、あなたは瞬間的に「できない」というスイッチを入れました。その結果、無意識に電車や車を連想し、できない理由を並べるのです。一方で、後者では、あなたは「できるとしたら」というスイッチを入れました。その結果、ヘリコプターという、できる理由を探したのです。

 人の頭は、こういうしくみになっています。脳は、できないと思ったらできない理由を、できると思ったらできる理由を瞬時にして並べることができる、高性能なコンピュータなのです。

「夢」についても、これと同じです。
夢はかなうものである。
夢はかなわないから夢なのである。
あなたはどちらだと考えますか。そして、なぜそんなふうに思いますか。
あなたがどんな理由を思いついたにせよ、それは、実はあなたが最初から決めつけていることに、後から理由をつけているにすぎません。

 素晴らしい南の島の映像を見て、「こんなところに行ける人はいいねぇ……」という感想で終わる人と、「えっ?この映像はどこ?行ってみようよ」と言ってすぐにインターネットで調べて行こうとする人……。

 この違いは、人それぞれの【思考のものさし】からきているのです。